こんなこと日常茶飯事だ。やり過ごすのが大人だ、ってまた言われそう。
今回も、きっと一部の人が抗議して終わるだけだ。
そう思っていた自分を戒めたい。ちゃんと言葉にして、抗議します。
わきまえるとは
話題になっている「わきまえる」ってそもそもどういう意味か改めて確認してみました。
わきま・える〔わきまへる〕
1 物事の違いを見分ける。弁別する。区別する。「事の善悪を―・える」「公私の別を―・えない」
2 物事の道理をよく知っている。心得ている。「礼儀を―・える」「場所柄を―・えない振る舞い」
3 つぐなう。弁償する。
「盗みし物だに―・へなば、助けてとらせ」〈読・春雨・樊噲下〉goo辞書より
森喜朗氏の発言
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗氏が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」「女性を増やす場合、発言の時間をある程度は規制しておかないと、なかなか終わらないので困る」「組織委員会にも女性はいるが、みんなわきまえておられる」などと持論を展開したことで、「女性蔑視発言」として抗議が殺到。翌日に開いた記者会見では、開き直ったように受け取られる態度ととったこともあり、問題の本質を理解しようともしていないのではないかと、さらに批判が強まりました。
森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求める署名にも多くの賛同が
森氏の発言に、素早く反応した人たちが、【女性蔑視発言「女性入る会議は時間かかる」森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求めます。】という署名を即座に開始。この記事を書いている2/6 午前2時時点で9万5千筆を越えています。
署名を始めた有志の方々は、私よりも若い世代の人たちが多く、この動きに頭が下がる思いでした。
どんな署名が見たい方はこちらから!
#DontBeSilent 世界各国の大使館からも抗議のアクション
現時点で、駐日欧州連合代表部、フィンランド、ドイツ、スウェーデンなど世界各国の大使館が、ハッシュタグを使用して男女平等を求める抗議を続々投稿。ポルトガルやアイルランドもツイートしています。(すごい数のいいねがついています)
これをみて、勇気づけられたというか、素直にかっこいいと思いました。
勇気づけられて、改めて自分の考えを整理してみようと思いました。
私が素早く動けなかったのはなぜ・・・?
叩かれたくないという逃げ
若い世代の行動力と、世界の大使館の毅然とした抗議に、行動してくれてありがとうの気持ちと、その行動へのリスペクトしかありません。
SNSでこういった声をあげると、必ず、必ず、必ず!叩いてくる人がいます。
もっともな指摘な時もあるけれど、正直それはごく一部で、ひどい言葉を投げつけられることもある。私も署名キャンペーンをした時に、嫌な思いをしました。
特にジェンダーのことになると、不毛としか思えない絡みをされることもあって、発言しようと思った時もやっぱりやめておこうと思うようになって、瞬発力と怒る気力がさがりすぎて、動くまでのエネルギーが足りてなかったと思います。
「82年生まれ、キム・ジヨン」みたいな母の実家
母の実家は、田舎の家父長制が色濃く残る地域の今も専業で農家をしている家庭でした。韓国でベストセラーになった「82年生まれ、キム・ジヨン」のワンシーンのようなお正月の風景が、私のお正月にもありました。
お正月と言えば、女は台所、男は飲んでいるのが当たり前の世界。
「どうして男は座っていてよくて、女が働かないといけないの?」聞いても、「女だから食事を作るのが当たり前」という答えではない答えが返ってくるわけです。めげずにさらに、「どうして女が作るのが当たり前なの?」と聞くと、「うるさい」と言われてしまい、そのうち聞くのをやめていました。
わきまえない女は生きづらい?
頭が働く女は可愛くない?
私はずいぶん長い間、わきまえてる方が、生きやすい、そう思っていました。
私の生い立ちはこの生活保護は恥ずかしくない。受けていた自分がそう思うまで。に書いていますが、とにかくお金がない家庭で育ったので、どうにかしてこの貧困から抜け出したいと思って、勉強を頑張っていました。でも、頭が働く女は可愛くないとか、頭が良くても男を立てられない女は成功しないとか、そんなことを言われることもありました。中学とか高校とか、そのくらいの年齢からです。
デキる女は、男を立てる??
「デキる女」になるためには、気がつかえて、男性を立てることができて、自分の仕事もこなせることが必要だと教えられて、頑張って頑張って適応しようと思いました。そうすることが正しいとか間違っているとかを考えずに、この社会での処世術を身につけたと思います。女は「わかってる」ことが必要で、例えばそれは男性がミスをしてもプライドを傷つけないように注意することだったり、細かい作業をする仕事をさっと引き受けることだったりします。細かい仕事はやっていけば慣れてくるし、男性を立てた方が仕事が進むし、それが仕事の方法だと思って適応してきたと思います。そうした方が自分の意見が伝わりやすく、仕事もスムーズだったので、数年前まではこれが正解だと思っていました。
わきまえてきた自分の責任。ロールモデルになりたい。
大人になった私。自分と同じ思いをさせるのか。
転機になったのは、6年前に始めたボランティアで一人の女の子に出会ったことでした。
社会的養護が必要な子どもたちの自立支援をしている団体で始めたボランティアで、児童養護施設で育った一人の女の子のサポートを高校3年生から大学を卒業するところまで関わらせてもらいました。学校のことや生活のこと、たわいもない話を聞いてつながり続ける。
大きな子どもができたというわけではないけれど、自分にとって特別な存在になりました。
その子が、あからさまではないけれど、それでも本人だけは気づくようなレベル、さまざまなところでちょっとずつ受ける差別の話を聞くと、どうかこの子が、生まれや育ち、自分の属性で差別されないで欲しい、理不尽な扱いを受けないで欲しい、心から思うようになりました。周りに「育ちが悪いからできないんだ」と思われたくなくて、その決めつけを跳ね返すために、
気立てがよい雰囲気で立ち回る、受け答えする。
ちょっと違和感があっても、やり過ごす。
それをやらないと、「できない」と思われるから。
だからやる。
それが嫌だったのに、この子が生きる社会も私の経験したことも、
何も変えれていない自分がいて、それをやめなきゃ、と思いました。
連鎖をとめないでいた自分をやめる
気をつけ始めたら、とにかくいたるところに、自分がわきまえている風に立ち回ることで残ってしまっている悪習慣がありました。
ひとつずつやるしかない。
ハラスメントとは何か理解するための研修を作って取り入れること、
女性のリーダーを具体的に増やすこと、
飲みの席では自分で自分のことをやるように呼びかけること&それを実行すること、
女だからとか男のくせにとかの発言をその場で訂正していくこと・・・
ひとつずつは、小さくて、見過ごしたっていいやと思いそうになるような、
そんなことを都度指摘したり修正したりすることで、周りからめんどくさい人と敬遠されることも多いです。
それでも、自分にできることをやると決めたから、
何が問題なのかを根気強く伝える、そんなことをやり続けているつもりです。
本当の意味でわきまえる。そして#DontBeSilent 黙らない
わきまえるの意味が、物事の道理をよく知っている、ということならば、それはつまり、男女どころか、人間はみんな平等だと知っているということですよね。
怒ることも、説明することも、理解させようとすることも、全部全部面倒でしんどい作業だけど、だけど今は黙っちゃだめだ。発言をした森さんだけでなく、日本各地のどこにでもいる森さん的思考の人たちに、男女平等・人間はみんな平等という声を上げ続けなければと思う。