カミングアウトってそもそもなに?
今日は、私が母親にカミングアウトしようと思ってからするまでのことを書こうと思います。
でも、その前に、私が言っている「カミングアウト」ってなんなのか、を少し解説したいと思います。辞書やウィキペディアではこんな感じ。
カミングアウト
1 公表すること。人に知られたくないことを告白すること。
2 同性愛者であることを公言すること。
3 性同一性障害者が、自分がそうであると告白すること。
引用:goo国語辞典、デジタル大辞泉
とか
カミングアウト(英: coming out)とは、
これまで公にしていなかった自らの出生や病状、性的指向等を表明すること。英語の動詞形でカムアウト(英: come out)またはカムとも言う。逆に、他人の秘密を暴露することをアウティング(英: outing)という。
引用:Wikipedia
でした。
人に知られたくないことって、誰にでもひとつくらいはありそうなものですが、この投稿では、「自分のセクシュアリティを親に告白した」という意味で、カミングアウトという言葉を使って話して行きたいと思います。
すごいプライベートな、セクシュアリティの話
さっき、さらっと使った、セクシュアリティという言葉。これも調べればたくさんの視点からの説明があるんですが、私は説明するときに、「自分のことをどういう性だと思っていて、どういった性の人を好きになって、自分をどう見せたいかを全部まとめた言葉」と言っています。
私の例を使って説明してみます。
この図にそって私のセクシュアリティを説明してみると・・・
身体的には、女性。
自分のことは女性だと思っていて、
好きになる性は決まっていません。男性を好きになることも、トランスジェンダーの方を好きになることも、女性を好きになることもありました。
服装や口調は、自分ではかわいい印象よりもかっこいい印象を持って欲しい気持ちがあって、どっちがどの性というわけではないので中間くらい。
私は他人に恋愛感情がわく人です。
となります。
ここまで読んでいる方の中では、「え、そんなに赤裸々に言って大丈夫?」と思う方もいるかもしれません。その意見に大賛成です。めっちゃプライベートな情報なんです。
だからこそ・・・
わざわざいう必要ある?葛藤した日々
当時30歳だった私は、社会人歴10年。親ともその頃から離れて暮らしていて、正直年に5〜6回連絡取るか取らないかくらいの関係性。地元では結婚して出産している友人がほとんどですが、東京にいれば、同世代で結婚してない人も多かったです。となると、自分のセクシュアリティをわざわざ言わなくていいや、そんな感じに思っていました。
なのに、葛藤しはじめたのには、大きくは2つ理由がありました。
・付き合っている彼女がいるのに、付き合っている人がいないことにしていて、嘘をつくのがなんとなく嫌だなあと思っていた。
・彼女と付き合う前は、男性と付き合っていて、母親はその人と結婚するといいな〜と思っていた。でも別れてしまって、それ以来付き合っている人がいないと思って、めちゃ心配していた。
でも、今考えてみたら本当は、お母さんを悲しませたらどうしよう。そう思っていたのかなと思います。なぜなら、言った時に泣いてしまったからです。
彼氏じゃなくて、彼女がいるよ
今となってはなんの電話だったのか忘れてしまったのですが、何かの用事で母から電話がかかって来ました。今日は電話を切るまでに、結婚の話も恋愛の話も聞かないで欲しい、そんな風に思っていたことだけ覚えています。でも、やっぱり・・・「で、最近付き合ってる人いないの〜?」とカジュアルに聞かれました。やたらと動悸が早くなって、どうしよう、言う?言わない?どうしたらいいの!とひとりパニック。10秒くらい沈黙してしまったのですが、あんなに言葉が出てこなかったことは久しぶりでした。やっと出てきた言葉が「彼氏じゃなくて、彼女がいるよ」
お母さんの反応
やっと言ったあと、お母さんの反応を待たずに、「ごめん」と言っていました。そして同時に大粒の涙が・・・ごめん、ごめん、と泣いていました。すると、「なんでごめんって謝るの?」と母。孫も欲しかっただろうし、結婚もして欲しかったと思う。でも自分は、たぶん今後もそうならないと思う。と、自分でもそんなこと考えていたんだ・・・と思うような説明をしていました。「うーん、そっかあ、うんわかった。でも謝ることじゃないと思うよ。ってことは伝えておくね」と言われ、その日はそのまま電話終了。
私は自分でも思っていた以上に、「お母さんにカミングアウトすること」をビビっていたようでした。
突然の手紙
数日して、突然お母さんから手紙が届きました。手紙をもらったこと、人生であったかな…という感じで、きっとこの前のカミングアウトのことだ…と思って、一気に落ち込みました。何か悲しいことが書かれていると思っていました。内容はこんな感じ。
・でも実はちょっと安心したよ→お母さんが結婚を2回して2回とも離婚して、苦労させたから、結婚に幻滅しているのでは?と思っていたから
・話すまでは、結婚して子どもを産んだらいいなと思っていた。でもそれはあなたが望んでいることだと思っていたからであって、あなたがしたいと思ってないならする必要ないと思う
→したくても日本では同性婚できないんだよというツッコミはのちにしておきました・・・
・お母さんがこうなったらいいなと思う人生と、あなたがこうなったらいいなと思う人生が違うなら、あなたが生きたい人生を応援します。
・だから謝ったり、申し訳ないと思ったりせず、元気で暮らしてください
カミングアウトしてよかったかどうか
私は、カミングアウトしてよかったと思っています。結果がよかったらからと言うのもあるとは思いますが、大きくはこの2つ。
・大切な人に受け入れて貰えなかったらどうしようと極限まで緊張する人の気持ちがわかるようになったから
私の場合は、理解ある職場と、名前も顔も出して同性カップルとして取材を受ける友人もいるので、普段の生活で自分のセクシュアリティを隠したりすることは全くありません。それによって嫌なこと言われることもあるけど、味方が心強いので気にしないでいられます。なので、私にとってのカミングアウトは、お母さんだけに対して使う言葉だったと思います。(いや、今はそう思っているだけで、最初は友人に言うのもドキドキしていたような気もする・・・)
自分にとって、カミングアウトした経験は、誰かがカミングアウトするとき、その人にとって大切なことを誰かに伝えるときに、どうあって欲しいかを考えることができる大きな経験になったという意味で、すごく今でも大切な経験になっています。
「初めて自分のセクシュアリティを話しました」と言って話してくれる人と何人も出会いいい友人になったりしているのはそのおかげかもな〜と思うことにしています。