扶養照会で22年ぶりに養父の消息を知った話

Family Storiesブログ

一通の「扶養照会」が巻き起こした出来事

私の家庭は母親が2回結婚し、2回離婚し、それぞれの結婚で1人ずつ子どもが生まれた、という家庭で、少しの期間、生活保護を受けていた話を以前書きました。(その記事はこちら生活保護は恥ずかしくない。受けていた自分がそう思うまで。

扶養照会

今回は母の2回目の結婚相手、私にとっては養父にあたる人が、生活保護を申請したことで届いた、「扶養照会」の手紙と、それをきっかけに、うちの家族に起こったできごとを書きます。この記事は、生活保護を否定するものでは全くありません。そこだけは最初にお伝えしておきます。

そもそも扶養照会ってなに?

簡単にいうと、福祉事務所が生活保護を申請した人の家族に対し「援助できませんか?」と問い合わせることです。封書が一通自宅に送られてきて、「あなたのお父さんが生活保護の申請しています。あなたは扶養できませんか?義務ではありません。できなくても、できない理由を書いてくれたら大丈夫です」的なことが書かれています。

22年音信不通でも、突き止められる住所

unhappy

まず、びっくりしたのは、ここまで住所とかってすぐわかるんだ・・・ということ。22年間連絡をとっていなくても、役所は調べられるんだ、という事実に最初はびっくり

いやもちろん税金も払ってるし、保険証もあるから、そりゃ自治体はわからないとおかしいでしょ、って冷静に考えればわかるけど、怖くないですか?封書をひらいて、22年間音信不通だった養父の名前が載っていたらびっくりしてもおかしくないと思いました。気が動転すると、割と当たり前のことがわからなくなりやすいんだなと思いました。「父親に住所がばれたのではないか」と頭をよぎったからです。

でも、そんなわけないない、と冷静になって、書かれていることをちゃんと読んだわけです。

気になったのは母と弟

私の手元に届いたものが扶養照会だとわかって、最初に浮かんだのは弟のことでした。

彼が4歳で離婚していて、家では特に父親の話題がなかったので、彼がどういう認識なのか、私は理解していませんでした。でも、お母さんにいうと、動揺しちゃうだろうし・・・うーん・・・と頭を抱えてしまいました。養父は、仕事中の不幸なケガで入院したのをきっかけに、退院してもあまり働かなくなりました。そこから借金、夫婦不和、養父の浮気が決定打となり離婚、という、当時を思い出しても文字で書いても、私にとっては残念過ぎる人で、またこんなことで悩まされるのか・・・と思いました。

ひとまず、弟に電話→出ない

電話の目的は、こんな手紙が来るよというお知らせと、彼がどういう判断をするかを聞いて、どっちにしても当時の話を聞きたいということになれば、説明を受ける権利があることを伝えようと思いました。でも、全然電話に出ない・・・私の家族は、全然連絡をとりあいません。仲が悪いとかではなく、それぞれがマイペースに暮らしているという感じ。お母さんも弟も、返事がないことも多く、その日のうちに返事がきたらすごくいい方だったので、期待してなかったけど、やっぱり出ず。仕方なく先に母に電話しました。

母に連絡→拒否反応すごい

怒らないで聞いてね、と前置きしたのに、やっぱり「なんで今更連絡くるのよ!!!!」と激昂。「とにかく無視しなさい!」の一点張り。さすがに話し合いにならないので、要点を伝えました。

・お母さんは離婚して籍を抜けているので、養子の私と実子の弟の所にしか連絡はこないこと。
・私は関わりたくないと思っているので、支援しないつもり。
・課題は一番関係があるはずの弟に、一番情報が少ないということ。当時の記憶もないし、どういう思いかもわからない。
・大切なことは、弟が判断できるような情報を提供する意思があることを伝え、彼の判断のサポートをすること。

いつか会いたいと思っていたかもしれないし、その場合、お母さんのその態度では弟は何も聞けなくなることを説明しました。
「私がひとりで必死で育ててきたのに、今更なんで・・・」という母に、そりゃそうだよな・・・と100%賛同しつつも、ここは家族最年少の権利を守る方が大切と判断。もしも弟が父親に支援する選択をしても、それはお母さんを大切に思ってないことはイコールじゃないよ、と何度も伝えました。母もだんだん落ち着いてきて、話をすることで合意。電話は母からすることになりました。

扶養する?しない?真実は小説より・・・なり!?

compass

しばらく経って、母から「扶養しないって」「聞きたいこともないと言われました」とLINE。すぐに私が電話して、話を聞くと

全く覚えてないし、家族だと思ったことがないので、特に聞きたいことがない。支援は自分の生活で手一杯なので無理かなあ。

ということでした。いやあ、我が弟ながら、超シンプル。
念のため私からも電話して、様子を伺いましたが、聞いた通りの反応。

唯一の質問が、「なんで姉ちゃんのでは養父って書いてんの???」ということ。「え?だってお父さん違うから。」とすごいあっさり説明してしまったのですが、弟はこの件で初めて、私と弟は父親が違うということを知ったらしく、それが一番ショックだったとのこと。自分では想定外すぎて、あっさりしすぎる対応をしたこと、今でもごめんと思っています。(その後、まあでも何も変わらないね、と言って解決済みです)

手紙の返送するかしないか

支援はしないということを決めたので、次は手紙を返送するのか、と言うことを考えました。理由を書いて欲しいと言うような記載や、私たちの住所も正確に書くように記載されていて、返送したことによって、養父に何か言われるのではないかと思ったのです。前の投稿に書いたように、私は生活保護は必要な人は受けるべきだと思っています。生活保護を受給していてもしていなくても、関わりたくない存在。ただそれだけでした。なので、手紙元の福祉事務所に電話をかけて、個人情報はどのように取り扱われ、養父にどのような説明がされたりされなかったりするのか、例えば、娘さんも息子さんも支援しないと言っているよ、みたいなことをいわれるのだろうかと質問しました基本的にはなにも伝えないとのお答え。でも照会するときには照会するというのに、照会後に返事が来たこないと言うのを言わない方法ってどんなんなんだろうと思いましたが、私は、返事があったことも言わないで欲しいとお願いしました。とにかく情報はなに一つ言わないで欲しいと。この行動にどれだけ意味あるんだろうと、今となっては疑問がありますが、私としてはお墨付きが欲しかったのだろうと思います。結局、記入して返送しました。

手紙を書く

離縁という選択肢

この記事を読んだ方で、同じ悩みを持っている人がいたら、離縁の選択肢も入れてもいいかもしれませんん。でも、今回は私たちはしませんでした。

理由は

・生活保護を受給しているので、財産を管理されてる可能性が高く、借金を相続する可能性が低いと判断したこと
・離縁するには、家庭裁判所に双方出向く必要があるが、地方裁判所の場合その手続きが双方同日に行われることがわかり、出会ってしまう可能性があること

関わらない確率を考え、それを最優先と決めたことで、これらを理由に、離縁の手続きをしないことを決めました。

#扶養照会はいらない

進むべき道

Twitterで扶養照会はいらないというハッシュタグを見て、私もそう思うと思いました。いろんな事情で離れた家族がいて、20年以上別々の人生を生きてきたのに、いきなり連絡しても、どれだけの人が支援をするのかな・・・と。生活保護を受けたい人にとっても、重荷だと思います。もちろん、福祉事務所の人たちにとっても。
人によっては私を薄情な人間だと思われるかもしれないけど、一番思っているのは私自身です。そういう部分も含めて、丸ごと人生を引き受けないといけないな。と思っています。

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